2017-01-01から1年間の記事一覧

製図室にて

午前3時、愛用のMacの画面が時間を告げる。無機質な白一色で整えられた製図室には、私と、同級生の加藤しかいない。といっても彼は寝袋にくるまっていびきをかいている。 エスキス提出の前夜なのに、煮詰まっているのは私だけ。他の仲間は早々に切り上げて散…

叛逆する平面―知られざる東京都慰霊堂

東京都慰霊堂をご存じだろうか。東京で暮らしていても縁遠い施設ゆえにその存在を認識している人はあまりいないんじゃないだろうか。かくいう僕も恥ずかしながら2、3年前まで所在すら知らなかった。 最寄り駅は総武線両国駅で、両国国技館や江戸東京博物館か…

【編集中】金沢建築弾丸ツアー(2日目)

(現在編集中です。しばらくお待ちください。)

金沢建築弾丸ツアー(1日目)

「建築を見に行く」という行為は、著名な古刹・城郭・洋館でもない限り、建築の業界に携わる者でなければなかなか理解し難い行動かもしれない。いや、この業界にいても理解を示さない人は一定の割合で存在し、ましてや絨毯爆撃のように片っ端から目とカメラ…

ボーヴェ大聖堂

―その瓦礫が表しているものは絶望ではない。大聖堂において苦痛は、ただ解放と再生を謳いあげるテ・デウムへの悲痛な期待のなかにだけ存在する。― ジョルジュ・バタイユ*1 パリから北におよそ77km、ボーヴェという人口5万人程度の小さな街に、世界中のあらゆ…

墓とインスタ 変容する死との距離感

九相観図(部分, 道源宗一和尚筆)とインスタ納骨 「#納骨」といういささかパンチの効いたハッシュタグがつけられ墓前で笑顔を向ける若い女性の写真と、それを揶揄するコメントが僕のTLに流れてきた。 その投稿には納骨という一般的に公にすべきでないとされ…

ラブドールと写真家 ―「LOVE DOLL × SHINOYAMA KISHIN」展トークイベント レポート

出典:WWD 手渡された名刺には「芸術家」でも「アーティスト」でもなく、「写真家」という肩書きが控えめに書かれていた。「激写」という言葉を生み出し、時代とともに先端を走り続ける篠山紀信氏は、週刊誌のグラビアをはじめ「写真」を媒体に多岐に亘る被…